乙4の熱の問題:比熱・熱量・熱の移動(伝導・対流・放射)
物理の「熱」は、まず言葉の定義と向き(大きいほどどうなるか)を押さえるのが基本です。 覚えるのは比熱の意味・熱量の式・熱の伝わり方3つ・熱膨張の4つ。 計算は「質量×比熱×温度変化」の掛け算1本だけです。
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比熱と熱容量
比熱は、物質1gの温度を1℃(1K)上げるのに必要な熱量で、単位は J/(g・℃) などです。 物質ごとに決まった値で、比熱が大きいほど温まりにくく、いったん温まると冷めにくい性質になります。 水の比熱は約4.2 J/(g・℃)で、身近な物質の中では大きいほうです。
熱容量は、その物体全体の温度を1℃上げるのに必要な熱量で、質量×比熱です。 比熱は「物質1gあたり」、熱容量は「その物体まるごと」と、何を基準にしているかで区別します。 同じ水でも、コップ1杯と浴槽1杯では熱容量が大きく違います。
熱量の計算:質量×比熱×温度変化
温度変化は「何℃になったか」ではなく上がった(下がった)幅を使います。 最後の温度をそのまま掛けてしまうのが計算のミスどころです。 試験会場では電卓が使えないので、計算問題との付き合い方は乙4の計算問題は捨てていい?も参考にしてください。
熱の伝わり方:伝導・対流・放射
| 伝わり方 | しくみ | 身近な例 |
|---|---|---|
| 伝導 | 物体の中を、高温部から低温部へ熱が伝わる | 鍋の取っ手が熱くなる |
| 対流 | 温められた液体・気体が動いて熱を運ぶ | 風呂の上のほうが熱い |
| 放射(ふく射) | 間に物がなくても熱が電磁波で伝わる | たき火や太陽で温まる |
見分けるときは「何が動いているか」を見ます。物体はそのままで熱だけが伝われば伝導、 液体や気体そのものが動いて熱を運べば対流、真空でも届くなら放射です。 太陽の熱が宇宙空間を越えて地球に届くのは、放射でしか説明できません。
熱伝導率:小さいほど熱がこもる
熱伝導率は熱の伝わりやすさで、一般に金属は大きく、気体や木材・布などは小さくなります。 熱伝導率が小さい物質は、熱が外に逃げずに内部にたまるので、温度が上がりやすく燃えやすくなります。 「熱伝導率が大きいほど燃えやすい」と向きを逆にした選択肢は誤りです。 乾性油を染み込ませた布が自然発火しやすいのも、酸化で出た熱がこもるためです(動植物油類とヨウ素価)。
熱膨張:液体は温まると体積が増える
液体は温度が上がると体積が増えます。増える体積は元の体積×体膨張率×温度変化で求めます。 たとえば体膨張率0.001/℃の液体(説明用の数値)1,000Lが20℃上がると、1,000×0.001×20=20L増えます。
だから危険物を入れる容器やタンクは満杯にせず、空間(空間容積)を残すのが基本です。 隙間なく満たして密栓すると、温度上昇で膨張した分の逃げ場がなく、容器の破損や漏えいにつながります。 第4類の貯蔵・取扱いの共通の注意は第4類の共通性状で扱っています。
状態変化と熱:冷却消火とのつながり
固体→液体(融解)、液体→気体(蒸発)のような状態変化では、温度を変えずに熱を吸収します(融解熱・蒸発熱)。 状態変化は物質そのものは変わらないので物理変化です。 水は比熱が大きく、蒸発するときにも多くの熱を奪うので、燃えているものの熱を奪う冷却消火に使われます。 ただし第4類の火災に棒状の水が向かない理由は別にあるので、消火の覚え方で確認してください。
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このテーマのひっかけ
物理化学全体で計算なしで取れる論点は物理化学が難しい人へ、静電気は静電気対策の覚え方にまとめています。
よくある質問
参考:比熱・熱容量・熱量・熱の移動・熱膨張・状態変化は物理の一般原理に基づく説明です。水の比熱は約4.18 J/(g・K)(25℃。国立天文台編「理科年表」)を概数4.2で計算しています。 計算例の比熱2.1・体膨張率0.001は説明用に設定した数値で、特定の危険物の物性値ではありません。
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